H.モーザーが導くストリームライナーの世界

2020.08.26

2020年1月。新しい年の幕開けと共にH.モーザーが発表した新作「ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック」。その名称の“ストリームライナー”とは1920~30年代に登場した流線型の高速列車に由来する。空気抵抗を減らし、ステンレスやジュラルミンなど軽量化された車体を持つ列車は、速度記録を塗り替えると共に大都市間の移動時間を短縮した。
 たとえば米国ユニオンパシフィック鉄道のストリームライナー「M10001」は、軽量なアルミ製車体とディーゼルエンジンで、蒸気機関車で50時間以上かかったシカゴとロス・アンジェルス間を40時間弱で運行。“時代の寵児”。それがストリームライナーだった。
 H.モーザーが新製品の開発を開始した際、前提となったのはステンレススチールのケースとブレスレットが一体した斬新なデザインだった。この着想が、やがて20世紀初頭に活躍した流線型の高速鉄道=ストリームライナーに結びついたのは必然であった。
  新デザインのケースは滑らかなラインで構成され、通常の腕時計に不可欠のストラップやブレスレットを装着するラグは見当たらず、魅力的な曲線はスムーズにブレスレットへ流れる。このダイナミックなフォルムが素材であるステンレススチールの質感を的確に表現する。

ブレスレットの造形も見事。構成するリンクは、巧みな設計と加工により有機的で滑らかな流れを形成し、どんな腕にも的確にフィット。個々のリンクはヘアライン仕上げされた波のような形状を持ち、接合部をポリッシュ仕上げすることで腕の動きに合わせて脈動する視覚的効果を得る。
つまり「ストリームライナー」のケースとブレスレットは、時計というメカニズムを内包するひとつの彫刻作品なのである。

 この造形美あふれる新コレクション「ストリームライナー」は、すべての表示系統をセンターに集約した新開発のムーブメントを搭載するクロノグラフでデビューしたが、新たに加わったのが、よりシンプルな「ストリームライナー・センターセコンド」。

この新作もクロノグラフ同様、彫刻的なケースとブレスレットを特徴とし、H.モーザーが自社開発製造による100%スイス製自動巻きの「キャリバーHMC 200」を搭載する。
 さらに、このモデルにはステンレススチールのケースとブレスレットの魅力を際立たせる新しいフュメ・ダイアルを採用。それが“マトリックスグリーンフュメ”だ。
 20世紀初頭に登場し、新時代の到来を告げると同時にモダン・ライフを牽引した高速鉄道ストリームライナー。そのスタイルを再解釈したH.モーザーの新コレクション「ストリームライナー」は、高級時計の世界に新たな風を吹き込む革新的なプロダクツである。

ストリームライナー・センターセコンド
Ref.6200-1200

●製品スペック
素材:ステンレススチール
ダイアル:サンバースト仕上げマトリックスグリーンフュメ
ケース径:40.0mm
ケース厚:11.8mm
防水:120m
ムーブメント:自動巻き
キャリバー:HMC 200
振動数:21,600振動/時
パワーリザーブ:約3日間
機能・特徴:蓄光するグロボライト®製の時分針、一体型ブレスレット
価格:2,150,000円(税別)

モチーフとなった「ストリームライナー」そのままに、ケースからブレスレットへの流れるような曲線を特徴とする「ストリームライナー・センターセコンド」。ストラップやブレスレットを装着するためのラグは廃され一体感が強調されている。この独特なシェイプによって腕への装着感も申し分ない。

このモデルのため新開発された光を受け多彩な表情を見せる「マトリックスグリーンフュメ」と呼ばれるダイアルカラー。“フュメ”はフランス語で“煙”を意味し、中心部から周辺に向かい色が濃くなるスモーキーなカラーリングを象徴している。時分針には高い輝度を誇るグロボライトをセット。

H.モーザーがノイハウゼンの自社工場で開発から設計、製造、組み立てまで一貫して行ったムーブメント「キャリバーHMC 200」を搭載。系列会社のプレシジョン・エンジニアリングが開発した調速機構が組み込まれ、ゴールド製ローターによって約3日間のパワーリザーブを確保する。

ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック
Ref.6902-1200

●製品スペック
素材:ステンレススチール
ダイアル:グリフェ仕上げフュメダイアル
ケース径:42.3mm
ケース厚:14.2mm
防水:120m
ムーブメント:自動巻き
キャリバー:HMC902
振動数:21,600振動/時
パワーリザーブ:約54時間
機能・特徴:フライバック クロノグラフ、蓄光するグロボライト®製の時分針、一体型ブレスレット、世界限定100本

全表示をセンターに集約した「ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック」。時分針とクロノグラフ秒針、60分積算計の針をセンターにセット。時分針には蓄光素材スーパールミノバを含むセラミックベースのグロボライト・インサートを採用することで視認性を確保。

造形美あふれるクッション型ケースとブレスレットが一体となった流麗なフォルム。リューズは腕の動きを妨げないため、4時位置に置かれている。このリューズにはH.モーザー製品を示す「M」の文字をレリーフ。クロノグラフ操作ボタンは10時と2時の位置にセットされているのも特徴。

センター表示に加え分と秒のフライバック機能を備える新設計の自動巻きクロノグラフ「キャリバーHMC 902」は、ジュネーブのムーブメント専業メーカー「AGENHOR(アジェノー)」 が開発。手巻きに見えるが実はムーブメントとダイアルの中間にタングステン製の巻き上げローターを配置。

彫刻的な造形が施されたクッション型ケースと一体となったステンレススチール製ブレスレットは流麗な曲線を描き、ひとつひとつのリンクがしなやかに可動して、あらゆる腕にフィットする。ブレスレットの着脱はプッシュボタンをオスことでバックルが開くことで簡単に行える。

最新のストリームライナーコレクションはぜひ直営店であるNX ONE 銀座でお手に取ってご覧ください。
皆様のご来店を心よりお待ち申し上げます。


文・名畑政治
写真・岸田克法/オフィシャル